X線回折法(XRD)による残留応力測定、構造解析
X線回折法は、物質の構造解析に用いられている一般的な方法です。
その他にも、材料・製品・構造物の残留応力測定に従来から用いられてきています。
しかし、この残留応力測定は試験片形状、測定部位に対応した様々なノウハウが必要です。
当社は、鉄鋼材料を対象にこのノウハウを確立し、その後種々の材料、部材の測定実績を重ねてきています。
残留応力測定のニーズがございましたら、是非ご一報下さいますようお願い申し上げます。
1.XRDでの残留応力測定原理
  • 外部からの応力は材料を構成する格子面間隔に影響を及ぼします。
  • 応力によって歪んだ格子は、入射X線に対する回折X線の角度に影響を及ぼします。
  • 応力と測定パラメーターとは式1のような関係で表せます。
  • したがって、実験によって2θ-sin2ψの関係図を求め、最小二乗法で勾配を求め、
     K(材料および測定波長によって定まる定数)を乗ずることによって応力が求まります。
XRDでの残留応力測定原理
 式1

2.残留応力測定例
残留応力測定例 ★アルミ系円筒円周方向残留応力測定例

<アルミの残留応力に必要な定数と条件>
・結晶構造---FCC(面心立方晶)
・格子定数---4.0494(Å)
・弾性定数---70600MPa
・ポアソン比---0.345
・測定波長---Cr-Kα 2.291(Å)
・回折面---(111)面間隔 1.1690(Å)
・回折角---156.6°(2θ)
・応力定数--- -94.86MPa/deg

残留応力測定例2
★鉄系ワイヤ長手方向残留応力測定例(測定点のうねりは強配向性のため)

<フェライト、マルテンサイトの残留応力に必要な定数と条件>
・結晶構造---BCC(体心立方晶)
・格子定数---2.8664(Å)
・弾性定数---205940MPa
・ポアソン比---0.28
・測定波長---Cr-Kα 2.291(Å)
・回折面---(211)面間隔 1.1702(Å)
・回折角---156.4°(2θ)
・応力定数--- -318.13MPa/deg

3.残留応力測定可能な材料、形状等

機器名 特徴 対象、実施例 標準サイズ
PSPC-MSF
(Target:Cr)
(Target:Cu)
1mmφ平行ビーム(最小0.3mmφ)
40KV-40mA、ヤング率、ポアソン比、d値
微小部、曲線部、条件設定
歯車、歯面、歯底
Al、Ti、Cr、Cu、WC
α-Al2O3、ZrO2
アモルファス(部分結晶)
Co,W(溶射膜)
Si3N4、Ni合金
薄膜TiN、TiC(3000Å)
120x250x300mm
0.5x0.5mm以上
5Kg以下

4.構造解析の目的別測定可能対象

構造解析の目的別測定可能対象


本田 忠史 本田 忠史

X線回折に携わって25年。無機物の結晶解析ならば
応力測定以外でもお申し付け下さい。
お問い合わせをお待ちしています。